コロナ禍になり在宅ワークが続いていて、自宅の机にデスクライトを購入される方が増えています。やっぱりデスクライト選びなら目に優しいものを考える方が多いのではないかと思います。どんなデスクライトを選んだらいいか、購入したけれどの使い方で本当にいいの?と迷ってしまいますよね。こちらの記事ではそんなあなたにデスクライトの選び方と正しい使い方をお教えます。
あなたのデスクライト、疲れ目の原因かも
「なんか目が疲れた…」。こんな日ってありませんか。電子機器なしでは暮らせない現代。目を酷使してしまいがちです。ひどくなると、視力の低下や頭痛、吐き気に悩まされることも。
その疲れ目の一因は、デスクライトかもしれません。デスクライトは、目の近くに位置するため、目の健康を損なってしまう場合があるんです。また、デスクライト自体に問題がなくても、正しい使い方をしなければ、目がつかれてしまいます。
最近では、「目に優しい」というデスクライトも増えてきていますね。しかし、実際のところ、どんなデスクライトが「本当に目に優しい」といえるのでしょうか。今回は「本当に目に優しいデスクライト」がテーマです。特に最近、需要が増えているLEDデスクライトを中心に解説します。デスクライトを選ぶ基準と正しい使い方を知って、目を守ってくれるデスクライトを選びましょう。
デスクライトが引き起こす4つの問題
まずは、デスクライトによって引き起こされる「4つの問題」です。以下のポイントを抑えることが、デスクライトを選ぶ大切な基準になります。
①不快感を感じる「グレア」
まずは、「グレア」です。デスクライトの光が目に入ることで、不快感や目の痛み、ストレスを感じることがあります。最悪の場合、目の機能を損なってしまうことも。そんなデスクライトの「まぶしさ」のことを「グレア」といいます。
グレアが発生する原因は大きく分けて2つあります。1つ目は、デスクライトの明るさのバランスや角度です。光が強すぎたり、デスクライトで照らされている場所と、そうでない場所において明るさのバランスが悪いと、グレアが発生しやすくなります。2つ目は、年齢や生理的状態です。特に白内障を患っている人、高齢者はグレアを感じやすいという調査結果が出ています。
グレアは、LEDデスクライトの問題点の一つです。LEDデスクライトは点光源です。つまり、小さなLEDがたくさん集まって、全体を照らしているのです。それで、発光部分が小さく、狭い角度で強い光を照射するという特性をもっています。そのため、LEDデスクライトでは、何も対策していない場合、強くて細い光が出てしまうのです。その光が目に入ると、吐き気などの症状を引き起こします。この「グレア」対策があるかどうかが、デスクライト選びのポイントとなります。
②目に一番負担をかける「フリッカー(ちらつき)」
「フリッカー」とはちらつきのことです。多くのLEDデスクライトは、「点灯方式」が用いられています。点灯方式は、目に見えないほどの速さで細かく点滅を繰り返すことで、発光させるしくみです。消費電力を抑え寿命を長くするというメリットがあります。しかし、この点滅が原因で細かいちらつきが発生してしまいます。その目に見えない、わずかなちらつきを「フリッカー」といいます。フリッカーに長時間さらされると、倦怠感、頭痛、視覚障害を引き起こす可能性があります。
これは、昨今大きな問題となってきました。2012年には、電気用品安全法(PSE)が改正され、LEDランプ及びLED電灯器具が追加となり、その中の要求事項として「一般照明用として光源にLEDを使用するものにあっては、光出力は、ちらつきを感じないものであること」と規定されました。それ以降、フリッカーが起こりにくいLED照明が増えてきました。デスクライトは、照明と目の距離が他の照明器具に比べて近く、フリッカーを感じやすい構造になっています。目に負担をかけてしまう一番の原因となるのがこの「フリッカー」(ちらつき)だと言われているので、デスクライトを選ぶ際には考慮に入れておくのがよいでしょう。
③目の奥まで達する「ブルーライト」
光はさまざまな色で構成されています。赤は波長が長くエネルギーが少なく、反対に青は波長が短くエネルギーが多くなります。ブルーライトは、人間の目で見える光の中では最も波長が短いため強いエネルギーを持っており、それは奥深く目の中の網膜まで達します。
このブルーライトは目の乾燥や睡眠障害の原因になるだろうと言われていますが、実はどのくらい浴びると、人間にとってどういう悪影響があるのかは、まだ具体的に明らかになっていないようです。これが、デスクライトとどういう関係があるかというと、LED電球を用いたデスクライトからも、ブルーライトが出ているということです。一般的には、蛍光体ベースの白色LEDから過剰なブルーライトが出ることはなく、デスクライトを直視しなければ、目に及ぼす影響は少ないと言われています。
しかし、安価なLED電球の中には、安全性を省みずに設計されたものもあります。そのようなLED電球を取り付けてしまうと、ブルーライトへの対策がされていなかったり、あるいはLED電球なのに強い熱を発生してしまったりという問題が出てきます。特に、デスクライトの本体と電球が別売りの場合は、電球を購入するときに注意が必要です。
④疲れ目の大きな原因となる「多重影」
これは、LEDを使ったデスクライト特有の問題です。先述しましたが、LEDのデスクライトは、小さい光の集合体で、一つの光源をなしています。その一つ一つの光を受けて、ペンや手などの影がいくつもできてしまうのが、「多重影」です。最近は、光の照らし方やライトの位置を工夫して、多重影ができないように工夫した「多重影対策」を取り入れているデスクライトも増えてきました。多重影も、疲れ目の大きな原因となるので、多重影対策を施したデスクライトを選びましょう。
目に優しいデスクライトを見分けるポイント
それでは、目に優しいデスクライトを見分けるポイントは何でしょうか?デスクライトを選ぶ前に、知っておきたい照明器具の単位と基礎知識を徹底解説していきます!
①明るさを表す 「㏐(ルーメン)と㏓(ルクス)」
★400㏐以上(光源の明るさ)
★300~500㏓(机の上を照らす明るさ)
明るさは、目を守る大切なポイントです。
照明が暗すぎても、明るすぎても、目の疲れの原因になります。日中の読書や作業などには、少なくともLEDのデスクライトでは、光源の明るさが400㏐以上の安定した明るさが必要です。しかし、多くの光を必要とする高齢者、また細かい作業を行う場合は、必要な明るさが変わってきます。そのため、年齢や用途に合わせて調整できるように、明るさを調整できるデスクライトを選ぶのがよいでしょう。
さらに、lxで表わされるのが照度です。これは、光源から出た光が机を照らす明るさを表しています。販売されているデスクライトの商品説明を見るとJIS規格(日本工業規格)A形相当、AA形相当と表示されているものがあります。これは日本工業規格(JIS C8112の照度基準)において、勉学・読書に必要な蛍光灯卓上スタンドの机上面照度の区分のことをいいます。しかし、光源から天板までの距離によって、この㏓の数値は変わってきます。ですから、身長や年齢に合わせて低い位置にデスクライトを設置するなら、明るすぎて目が疲れてしまいますし、メーカーの測定以上に高い位置から照らそうとするなら、暗く感じるかもしれません。JIS規格を満たしているものは他のデスクライトに比べて性能は高いです。しかし、㏓の指数に惑わされずにあくまで目安としてとらえるのがいいでしょう。
②光の色を表す色温度K (ケルビン)
これは、光の色をK(ケルビン)という数値で表す方法の一つです。オレンジや赤っぽく見える暖かい光は約2700K(電球色)、青白く涼しげな光は約6500K(昼光色)です。この数値が高ければ高いほど目に負担がかかります。時間帯や作業内容、また気分によって色温度を変えることができるなら、ストレスフリーで作業を続けることができます。リラックスし、眠りの質を高める暖かい光と、集中力を高め、細かい作業をする助けとなる涼しげな光。こういった色温度がカスタマイズ可能かどうかは、モチベーションにも関わるかなり重要なポイントです。
③色の再現性を表す 平均演色評価数Ra (アールエー)
★Ra 80~90
平均演色評価数(Ra)は、光に照らされたときの物体の色の見え方を数値で表したものです。この数値は高いほど、自然な色の見え方に近づきます。Raの値が低いと、色のコントラストが見えにくくなり、目の疲労を引き起こす可能性があります。おおよそのLEDのRaは約80なので、問題はないといえます。白熱電球やハロゲン電球は100に近く、ほぼ太陽光と同じRaです。写真やイラストなど、色の高い再現性が求められる場合は、平均演色評価数が90より大きい数値の照明や電球を選びましょう。しかし、読書や勉強などの目的でデスクライトの購入を考えているなら、80~90の数値がベストです。
デスクライトの正しい使い方
これまで考えたように、明るすぎる、あるいは暗すぎる照明の下で読書したり作業したりするのは目にとって危険です。しかし、「目に優しい」と銘打ったデスクライトを使っているのに、一日中勉強したり働いたりした後、時々目が充血したり、疲れたりすることがあります。その場合、もしかしたら、デスクライトそのものではなく、デスクライトの使い方に問題があるのかもしれません。では、どのようにデスクライトを使えば、目を保護できるのでしょうか。
1. デスクライトの位置
真横に置く
大切なのは、作業中にデスクの上に影を作らないことです。多重影対策のなされていないデスクライトを選んでしまった場合も、デスクライトを置く位置を変えると、軽減できる場合があります。まず、デスクライトは正面ではなく、デスクの真横に置きます。あまり知られていないことですが、右利きの場合はデスクライトを左側に、左利きの場合はデスクライトを右側に設置するのがコツです。
高さは頭より高く
原則として、光源は頭より高い位置で、そして視界の外にあるべきです。その位置が低すぎると、作業領域を十分にカバーできない可能性があります。そして、高すぎると光が拡散しすぎるかもしれません。
パソコンを使う時は要注意
パソコンを使った作業の場合は、机を窓のそばに置かないようにしましょう。太陽光が画面に反射すると、目に悪影響を及ぼします。また、デスクライトでパソコンの画面の前後を明るくするなら、画面にまぶしさを引き起こさずにデスクとキーボードが照らせます。そのような工夫をすることで、光の反射が目に入るのを避けられます。
2.部屋の照明を消さない
読書や勉強をするとき、部屋の電気を消してデスクライトだけをつけると、集中力が高まるという人がいます。しかし、それは大きな間違いです。明るさを司る目の部分は、「瞳孔」と呼ばれます。いわゆる黒目と呼ばれる部分です。瞳孔は、明るいと小さくなり、暗いと大きくなり、その収縮によって目の中に入る光の量を加減します。デスクライトだけを使用した場合、照らされた部分の机の上だけはとても明るく、部屋は真っ暗です。机の上からふっと視線をそらしたときの瞳孔の収縮は、かなり大きくなり、目に負担がかかります。部屋と机の照度の差が大きければ大きいほど、疲れ目や近視の原因にもなるので、できるだけ、部屋の明かりとデスクライトは併用したほうがよいでしょう。
まとめ
デスクライトは、健康的かつ生産的に作業を進めるのに欠かせないアイテムです。机に向き合う時間は、自分が思っているより長いものです。子どもの目の健康を守り、大人の目の老化を防ぐ。できるなら、そんなデスクライトを選びたいですね。自分の目にあったデスクライトを探し、正しい使い方をしましょう。そうすることで、お金には決してかえられない自分や家族の健康を守ることができることでしょう。