店舗の移転はどうやる?メリット・デメリットや費用・手続きなどを徹底解説!

経営する店舗が順調に成長していても、業績が芳しくなくても、店舗の「移転」を考える機会は少なくないようです。そこで今回は、店舗移転の一般的な理由や移転にかかる費用・手続きを中心に注意すべき点をご紹介します。

なぜ、店舗を移転させるの?

はてな

まずは、店舗の移転を考える一般的なケースについて見てみましょう。

立地の改善

店舗周辺環境の変化により、通行量が激減した場合、ターゲット層が大幅に減少した場合、視認性が大いに悪化した場合などがある場合、立地を改善するために店舗を移転する必要が出てきます。ニーズの高いところへ、より集客が容易なところへと店舗を移転すると経営の改善が見込めるでしょう。

繁盛したので広くしたい

店舗経営が好調な場合でも、移転を検討する機会はあります。満席を理由に来店のお客様をお断りする状況が増えてくると、店舗拡張を検討する人が多いからです。2店目を開店させ、多店舗経営に乗り出す手もありますが、現店舗の状況や規模によっては、より大きな規模の店に移って売り上げ拡大を狙うことができます。

広すぎたので店舗を縮小したい

人員不足で手が回らず、お客様の満足度が下がってしまって客離れを起こしている場合や、現状では店舗の規模が大き過ぎて利益が思うように上がらないということもあるでしょう。その場合、規模の小さいところへ移転し、経営を立て直す必要が出てきます。移転に際して、メニューやオペレーションを見直す良い機会にもなるので、店舗を縮小することは決してネガティブなことばかりではないようです。

店舗を移転させるメリット、デメリットは?

店舗経営をしていると、さまざまな場面で移転を検討することがあります。店舗移転がもたらすメリット・デメリットには、具体的にどんなことが挙げられるのでしょうか?

流行に乗れる

店舗移転がもたらすメリットには、流行に乗れるということが挙げられます。例えば、近年は飲食店業界の中でも、焼鳥や串揚げなどの業種が非常に元気です。

ただ、現在の立地でそのような流行に乗ろうと思っても、あまりにも業種が異なる場合、大がかりな改装が必要になるため、店舗を閉店しなければいけない可能性が出てきます。そうなると、閉店中は収入がゼロになってしまうため、店舗移転の方が効率的だと言えます。

経営状況を改善できる

店舗移転がもたらすもう一つのメリットには、経営状況を改善できるということも挙げられます。毎月順調に売上目標を達成しているにも関わらず、賃料の高さが経営状況を圧迫し、なかなか黒字が出ないということは、飲食店ではよくあることです。

このような店舗は、もう少し家賃の安い物件に移転することによって、経営状況を改善し、少しずつ黒字経営ができるようになります。賃料が高く、規模の大きい物件に移転するのは、そこでしっかり資金に余裕を作った後でも遅くありません。

今までのお客様を失う可能性かある

最大のデメリットといえるのが、今までのお客様との接点が店舗移転によって弱くなってしまうことです。店舗の移転を決意したら、移転前にお客様に移転の案内を行いましょう。今までご利用いただいたお客様へ案内を行っておくと、移転後でも来店してもらえる可能性があるためです。

案内の方法としては、店舗への張り紙やSNS・ホームページなどでの告知があります。また、移転先が来店してもらいにくい遠方の場合、今までの感謝の挨拶などをしておくと良いでしょう。

設備の移動にコストや手間がかかる

大量の設備を抱える店舗では、設備の移動や引っ越しに対するコストがかなり大きくなってしまいます。 また、登記変更などの手続きも多数あるため、移転前後は経営者は多忙を強いられると考えておきましょう。

イニシャルコストを抑えたい場合、まずは従業員数名単位で異動をさせて、移転先での雇用も短期間ではなく数年を見据えて計画的に行うなどの対策が有効となります。

店舗を移転するときの店舗物件の探し方

店舗を移転するときの物件の探し方は、アパートやマンションなど住宅賃貸物件と同じような探し方で通用する部分も多少はありますが、「店舗」特有の視点や知識は絶対に必要です。事前に正しい探索方法や流れを知っておかないと、時間とお金で大きな”損”をしかねませんよ。

①不動産屋

店舗物件を探したことはなくても、住居の物件探しならご経験があるのではないでしょうか。基本的な流れは、住居も店舗も変わりません。

店舗の移転先選びは、単なる使い勝手や居心地に留まらず、業務効率や業績などにまで影響を及ぼします。立地や予算などの重要条件を最初に洗い出しておき、信頼できる仲介会社に物件選びのパートナーとなってもらいましょう。持っている情報量の多さに加え、テナント移転に関するノウハウの確かさ、物件の短所まで教えてくれる誠実さがある不動産会社がおすすめです。

ポータルサイトから物件を検索し、気になるテナントがあれば、電話などでアプローチしてみてください。対応が早く、気になる物件以外にも好物件を見せてくれる提案力があり、さらに移転に必要な準備・手続きなどについてもアドバイスをくれる会社なら安心です。

良い物件に出会えたら、仲介会社の担当者などと内見を行います。実際に物件を調べて気に入れば、入居申し込みを行いましょう。

②知り合いからの紹介

自分の周りにいる方に、開業のために店舗物件を探していること、具体的にどんな条件で探しているかを伝えておくことで、希望の物件に巡り合うこともあります。

「自分が通う店舗のオーナーが高齢で後継者を探していたので、自分がそのまま引き継いだ」
「SNS経由で物件紹介してもらった」といったお話もあります。
とにかくアンテナ高く情報収集し、また情報発信しておくことが、同じ物件を探すライバルに差をつけるポイントです。

③内見の時に見ること

内見する前からチェックしておきたいのが物件の広さです。図面からわかりにくいのは柱の位置です。柱の位置が悪いと作業の動線が乱れて効率が悪化します。これから事業拡張や人員を増やす計画があるのであれば、ある程度余裕がある広さを確保してください。

また、エントランスの雰囲気も重要なポイントです。店舗の顔ともいえるエントランスは、清掃が行き届いているかどうか、店舗のイメージに合うかどうかも重要です。信用力をアピールするなら重厚感があるエントランス、親しみやすさをアピールするなら明るい雰囲気のエントランスがおすすめですよ。

店舗を移転するときの閉店手続き

カフェ

店舗、特に飲食店を閉店廃業する際は、法律で定められた手順で手続きする必要があります。事前準備が必要なものも多いのであらかじめチェックしておきましょう。

1.お客様へ店舗移転案内

現店舗に来店してくださるお客様、特にリピーターのお客様は、たとえ業態を変更したとしても、移転先に来てくださる可能性が高いと言えるでしょう。移転先が決まったらすぐに、店内や店頭に移転の案内を貼り出しましょう。

日ごろのご愛顧に感謝するとともに、閉店日、移転先の店名、開店日を明記し、移転先の住所や地図を分かりやすく記すことが大切です。もちろん、新店舗の営業時間や連絡先電話番号なども入れておきましょう。

ホームページやSNSなどでの告知も忘れないようにしてください。移転先の店ができ上がっていく様子を投稿していくと、お客様も移転の気分が盛り上がることで、集客に役立つでしょう。

2.廃業届、廃止届等の提出

飲食店の場合、衛生管理や防火管理などをするため、開業時にさまざまな行政機関に届出をして監督を受けながら営業をします。廃業時には、経営者は該当する行政機関に廃業の届出をします。

■保健所:店舗のある地域の保健所に廃業日から10日以内に廃業届を提出します。

■警察署:風俗営業許可を得ている場合、返納理由書とともに許可証を返納します。

■税務署:従業員を雇っている場合は「給与支払事務所等の廃止届出書」、消費税の課税事業者の場合は「消費税の事業廃止届出書」を提出します。

■公共職業安定所:雇用保険に加入している場合、「雇用保険適用事業所廃止届」「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」の3つの届出をします。

■日本年金機構:雇用保険や健康保険に加入している場合、「雇用保険適用事業所廃止届の事業主控」のコピーと「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を廃業日から5日以内に提出します。
■労働基準監督署:労働保険に加入している場合は、「労働保険確定保険料申告書」を営業終了日から50日以内に提出します。都道府県労働局でも提出可能です。

3.賃貸物件の解約と物件の原状回復

店舗の移転には退去費用がかかる点に注意しましょう。原則として、内装や外装などは店舗を借りる前の状態に戻す必要があります。

そのため、現在の壁紙や天井などの内装を解体してもらう必要があります。その際に、解体費として費用がかかります。店舗の移転を考えた際の資金計画に、退去費も忘れないように計画書を作成しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?これまで店舗移転という考えがなかったという方は、自店の状況を考慮した上で移転するかどうかを検討してみましょう。ただし、移転する際のメリット・デメリットや移転に必要な手続きなど、さまざまなハードルがあるため、思いついたらすぐ行動とはいかない可能性があることも把握しておくべきです。

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