新規の店舗をオープンする時は、どんなお店にしようか考えるとワクワクします。
看板や調度品などこだわってみたいポイントが色々出てきて、迷ってしまうかも知れません。
ところでどんな店舗になるかは、実は最初の段階でかなり左右されるものなのです。
本記事ではお店作りの土台とも言うべき、店舗設計について取り上げます。
おろそかにしてはいけない店舗設計
店舗設計とは、単に店舗の設備などについて図面を引くことだけを指しません。
もちろん設計図は大事ですが、図面はどんなお店にしたいかということを表現したものです。
すなわち「こんなお店にしたい」ということをしっかり考えて設計者へ伝えなければ、思った通りの店舗にならないのです。
店舗のコンセプトを明確に
まずは店舗のコンセプトをはっきり決めましょう。
たとえば女性受けしそうなおしゃれなお店・ファミリーで利用しやすい庶民的なお店・通が通うような渋いお店など、ターゲットとする客層とセットで考えるとイメージしやすいです。
お店のコンセプトが違えば、店舗のデザインを構成する内外装や調度品などもガラリと変わってきます。
店舗の場合お部屋のように気軽に模様替えするわけにはいきませんので、最初の設計段階でコンセプトに合ったものになっているか、しっかり打ち合わせや確認をする必要があります。
来店客の目線を意識する
お客様をリピーター化するには、お店のこだわりや理念を感じとって気に入ってもらう必要があります。
そのためには、お客様の目に止まりそうなところに気を配った設計が効果的です。
お客様の目線がどこに向くか想像し、その目線の先がどうなっていたらよいかを考えましょう。
とは言え目線が行きそうなところの意匠をそれぞれバラバラに考えていたのでは、まとまりのない印象になってしまいます。
お店のコンセプトに合わせて、デザインなどの統一感を大事にしましょう。
また照明も重要なポイントです。
照明の明るさによっても、お店の雰囲気は変わります。
お客様から店内がどのように見えるかをしっかり考えて、照明の種類や位置を決めるようにしましょう。
働くひとにとっての快適性も重要
働く店主やスタッフにとって、居心地がよいお店であることも大事です。
従業員は通常、お客様より長い時間を店舗で過ごすことになります。
従業員が長くいたくないような環境では、お客様に対するホスピタリティをきちんと発揮することが難しいでしょう。
そのためスタッフルームや執務スペースの広さ・空調などについて、設計段階で十分に検討する必要があります。
作業台の高さや収納の位置などについては、無理な姿勢を続けることなく疲労が軽減されるよう配慮しましょう。
店舗設計はどこに頼む?
店舗を開く際は、しっかりと店舗設計する必要があります。
ところで店舗設計は、どこに頼むのがよいのでしょうか。
設計事務所に依頼する
店舗設計の依頼先としてまず候補に挙がるのは、設計事務所です。
店舗設計を得意としている設計事務所であれば、店舗デザインを含めた相談をすることができます。
内外装など凝ったデザインにしたい場合は、設計事務所に店舗設計してもらうとよいでしょう。
注意点として、施工が別の業者となるため設計通りの施工が難しかったり、想像以上に工事代金がかかってしまったりすることがあります。
また工事料金とは別にデザイン料が発生することになるので、費用は少し余分にかかることになります。
工務店に依頼する
施工を発注する工務店に、店舗設計も一括でお願いするケースもあります。
店舗の内外装工事を得意にしている工務店であれば、設計までやってもらえるところが多いでしょう。
工務店の場合実際の施工を考えながら設計するので、正確な費用見積もりが期待できます。
また予算に合わせた施工内容を選択することで、リーズナブルな設計が可能です。
一方で既製のパーツを用いることを優先する傾向があるため、デザインの幅が限られた設計になってしまうこともあります。
施工のしやすさを重視した結果、施主のこだわりが設計へ十分反映されないといったようなことにならないよう注意しましょう。
施工実績を確認
設計事務所と工務店のどちらへ店舗設計を依頼する場合でも、施工実績を必ず確認するようにしましょう。
過去に手がけた店舗を訪れ、実際の仕上がりや雰囲気を直接見たり感じたりするのが一番です。
自分が発注した場合の出来上がりを想像することができ、参考になります。
ホームページで施工事例を紹介している業者も多いですが、写真は盛れている場合があります。
またお客目線で見た場合の印象は、やはり現地を訪れないとわからないものです。
店舗設計で注意するべき点
ここまで店舗設計の重要性や発注先について、説明してきました。
店舗を設計する際には、他にどんな点に注意したらよいでしょうか。
狭苦しさを避ける
客として訪れる場合、狭苦しいお店はなるべく避けたいと思うでしょう。
人間にはパーソナルスペースという感覚があり、他者との距離が近すぎると落ち着かないのです。
店舗設計においても、適切なパーソナルスペースが確保できるようにフロア全体のレイアウトを考えましょう。
とは言え物件自体が狭小で、そもそもスペースが不足している場合もあります。
そのような時は、思い切って置く物を減らす・天井近くの空間を活用するなど工夫して、「狭いけれども、狭苦しさはあまり感じられない」という店舗設計を目指しましょう。
死角を作らない
お店のオペレーションにおいて、死角は少ないに越したことはありません。
万引きや迷惑行為を防止するという観点のほか、お困りのお客様などに気付きやすくサービスを提供しやすくなります。
個室を設置する場合は別として、個室以外の死角が少なくなるよう設計段階から注意した方がよいでしょう。
監視カメラの設置で補うという方法もあります。
その際はどこにカメラを設置しどこでモニターするのかについても、設計段階でよく検討するとよいでしょう。
動線を考える
仕事をする上での動線も、確実にシミュレーションしておく必要があります。
たとえばカウンター裏への荷物搬入が困難なためカウンターの上が荷物置き場になってしまったとしたら、おしゃれなカウンターを設置しても意味がありません。
そのようなことにならないよう実際にそこで働いたときの状況を設計の時から想像して、気になる点があれば設計士に確認するようにしましょう。
お客様の動線についても同様です。
入店したときからどのような動線をたどることになるのか、様々な状況を想定しておく必要があります。
また最近では、車いすへの対応状況などを気にする人も増えています。
可能であればバリアフリー設計を取り入れて、脚などに障がいをお持ちのお客様に対してもオープンな店舗にしましょう。
まとめ
以上で本記事を終わります。
店舗設計は、お店のコンセプトを十分に反映したものでなければいけません。
店舗設計は、設計事務所か工務店へ依頼しましょう。
狭苦しさ・死角・動線には特に注意して、店舗の設計を考えましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。