北欧の国々は緯度の高い場所にあり、夏でも日照時間が短く太陽の光はとても貴重でした。そのため光を大切にしてきた北欧の人々がつくった照明器具は計算された光の美しさ、器具の造形、機能性が備わっています。今も世界中で愛されているレ・クリントやルイスポーセン、フリッツハンセンといったインテリアブランドは北欧生まれです。
家の中での暮らしを大切にしてきた北欧の人々から、家の中を快適にする照明の取り入れ方を学んでいきましょう。おすすめな北欧メーカーの照明器具も紹介します。
冬は降雪量も多いため家の中で過ごす人が多いです。そのため家の中でいかに快適に過ごせるかが北欧の人々の課題だったことでしょう。有名な家具や食器、調理器具のメーカーに北欧生まれのブランドが多いのはこうした背景があるからかもしれません。
北欧のお家の照明の取り入れ方とは?
日本では1灯の照明器具で部屋全体を照らすということが主流でした。しかし北欧の人々のあかりの取り入れ方は多灯であかりの必要な場所だけを照らす、ということです。つまり、2箇所以上にペンダントライトやスタンドライトなど種類の違う照明器具を配置し、それらで光が必要な場所、例えばペンダントライトでテーブル上を照らし、スタンドライトで手元を照らす、といった取り入れ方をします。そうすることにより部屋に明暗ができ、1灯で部屋全体を照らした部屋よりもリラックスできる部屋にすることができます。
リラックスする灯りとは?
なぜ部屋に明暗ができる多灯での照明の取り入れ方のほうがリラックスできるのでしょうか?
それは間接照明で部屋が照らされているからです。ぼんやりとした柔らかい光の間接照明は、強く明るい直接照明よりも人に落ち着きを与えます。なぜなら強く明るい光は交感神経を刺激し人を活動的にさせ、柔らかい光は副交感神経を刺激し、穏やかで落ち着いた気持ちにさせてくれます。
光の位置も重要です。明るい光を上から浴び続けるとそれは日中と変わりません。太陽は夜が近づくにつれだんだんと位置が低くなり沈んでいきますよね。それと同じで、人間は照明の光が低い位置にあったほうが活動的な日中の終わりを示すサインになり、リラックスしやすいと言われています。
ペンダントライトもコードを長くして低めの位置にしたり、フロアスタンドライトも背の低いものをえらぶといいかもしれません。よりリラックスした空間を演出できますよ。光は人体に大きな影響をあたえていますので、照明も人体のことを考えて配置できるといいかもしれませんね。
日本人には合わない?間接照明だけだと暗く感じる
家は1番リラックスするところでありたいですが、キッチンで料理をしたり、ダイニングで食事をしたり、暮らしの中で生まれる作業があります。そのため間接照明だけの空間では暗すぎて暮らしづらさを感じてしまうこともあります。とくに日本人は直接照明の明るい部屋の文化ですし、人種的な感受性の違いもあり、アジアに多い黒目の人々はヨーロッパに多い青やグレーといった薄い目の人々よりも光を取り込まない目をしています。色素の薄い目の人たちからしたら十分な明るさでも日本人からしたら暗いということも多いです。
リラックスした空間を追い求め、全てを北欧の暮らしに当てはめると逆にストレスがたまってしまうということは防ぎたいですよね。ですので日本人らしさも取り入れ、直接照明も設置しておくと良いでしょう。それか、調光機能付きの照明器具であれば光の強さを変えられるので使い勝手が良いと思います。
どのくらいの明るさがほしいのか、リラックスできるのかは人によってもさまざまです。照明器具を1個1個、好きなものを足していって明るさを足していくのもいいかもしれませんね。
アシメントリーでおしゃれな6灯のLEDシャンデリア GCH003-6
緩やかな放物線を描いたアームの先に真球ガラスがついたシャンデリア。空間を華やかに演出します。真鍮メッキと乳白色ガラスの組み合わせにより、高級感の中に安らぎを感じさせます。
世界で愛される北欧照明のブランド
冒頭で少し触れましたが、北欧生まれの人気のあるブランドは多いです。その中でもとくにおすすめのブランドを3つ紹介します。
LE KLINT(レ・クリント)
名作を数々残しているレ・クリント。1943年デンマークで生まれたブランドです。なかなかの老舗ですよね。このブランドはなんと日本の折り紙にもルーツがあるそうで、商品は難燃プラスチックを手作業でおったセードが特徴のブランド。創立当時はプラスチックではなく本当に紙でつくっていたそうです。まさに折り紙、なんとなく嬉しいですし親近感がわきますよね。
レ・クリントで1番有名な照明器具はポール・クリスチャンセンがデザインした「172シリーズ」。家具に興味がない人でもどこか街中で目にしたことがあるのではないかというほど印象的なデザインですよね。北欧照明の特徴である柔らかく優しい光が特徴です。
このシリーズは5種類のサイズ展開がされており、直径20センチメートルのスモールサイズから、直径85センチメートルのかなり大きいサイズまであります。自宅の空間の大きさにあわせて選ぶことができるのは嬉しいですね。
もう1つレ・クリントでおすすめの照明器具がテーブルランプ307。びっくりするほど華奢な本体の上にある末広がりに広がったセード。真鍮の細い支柱がとてもクラシックで洗練されたデザインです。クラシックなデザインやホテルライクな雰囲気が好きな方にかなりおすすめです。
louis poulsen(ルイス・ポールセン)
北欧照明ブランドの中で1番有名なブランドです。ルイス・ポールセンもレ・クリントと同じくデンマークで生まれた照明ブランドです。1925年にパリ万博のために制作した照明が高い評価を獲得し、商品化。北欧照明のアイコンであるPHシリーズはサイズや器具のかたちの違いなどで100種類以上のレパートリーがあります。
この「PH」とは生み出したデザイナーの名前の頭文字を取られています。Poul Henningsen(ポール・ヘニングセン)のPとHですね。
ポール・へニングセンは日本が大正時代のときに照明器具の光をどのくらい快適にできるか、心地よくできるかを考えていた人だそうです。計算されたシェードのデザイン、光の角度、デザインだけでなく機能的にも優れていて、心地よい光だからこそ人々に支持され、北欧を代表する照明器具になったのですね。
IKEA
名前を知らない人はいないのではないかと思うほど人々の生活の支えになっているといっても過言ではないイケア。イケアは照明器具だけではなく家具全般と生活雑貨、園芸用品も少し置いていたり、食品もあります。どの商品も他社と比べ価格がとても安く、お洒落なので根強い人気があります。そんなイケアの発祥は北欧、スウェーデンの田舎。17歳の少年が日用品や生活雑貨をカタログの通信販売をするところから始まります。
IKEAの理念は「優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニシング商品を幅広く取りそろえ、より多くの方々にご購入いただけるよう、できる限り手ごろな価格でご提供すること。」間違いなくその理念通りに動いていることが分かります。照明もお洒落で使い勝手のよさそうなアームランプが1490円で売っていたり、5000円以内で買える照明器具も多いです。
照明器具はスペックや機能によって値段はさまざま、そして上記で紹介した北欧ブランドともなると1つ買うのに5万円以上はしてしまいます。高いですよね。デザイン性の高い照明はネットで安く探しても2万円はかかりますが、イケアはそれらと比べるとデザインもよく、機能も悪くなく、値段はどんな照明器具でも1万円以内で買えるものが多く、安い。
お洒落な照明器具をできるだけ安く購入したい人は一度イケアのホームページをのぞいてみてもいいかもしれません。店頭に並んでいない商品もたくさんありますよ。
まとめ
いかがでしたか?少しですが北欧の人々のあかりについて、暮らしについての考え方に触れることが出来たと思います。豊かな生活を自分でつくっていく北欧の人々に習って、私たちも忙しい中ではありますが、日々の暮らしに目を向けてみるのも良いのではないでしょうか?まずは気軽にスタンドライトだったり、一目ぼれしたペンダントライトでも、なんでもかまいません。高くても安くても自分のお気に入りの照明器具をつけて充実させていきましょう。