新築の家を建てる際、照明計画を考えなければなりません。照明計画では、照明の数や配置だけでなく照明の種類や照明の見せ方も検討しなければなりません。ただ好みのデザインだからという理由だけで照明を選ぶと、後々使いづらさを感じてしまうことがあります。そこで、ここでは部屋における照明計画の立て方と、照明計画を駆使してリラックスできる部屋の作り方を解説します。
部屋における基本的な照明計画の立て方
まずは、部屋における基本的な照明計画の立て方を順を追って見ていきましょう。
- 部屋をどんな雰囲気にしたいかを考える
- 雰囲気に合わせて照明器具を選ぶ
- 照明の配置を決める
部屋をどんな雰囲気にしたいか考える
まずは、照明計画を立てる部屋をどんな雰囲気の部屋にしたいかを決めることです。例えば、北欧風の部屋にしたい、ヴィンテージ感のある部屋にしたいなどイメージしてみましょう。インテリア雑誌やSNSなどで理想の部屋があれば、それを参考にするのも良いです。
雰囲気に合わせて照明器具を選ぶ
イメージした雰囲気に、どんな照明が合うのかを考えます。北欧風の部屋にしたいなら、暖かみのあるデザインが良いでしょう。ヴィンテージ風の部屋であれば、アイアンを使ったデザインや裸電球の照明が相性良いです。このように、イメージした雰囲気に合う照明器具を選ぶことで、最後に設置した時にイメージと違ったということが起こりにくいです。また、照明器具を選ぶ際は、ブランドやデザイン・サイズ・値段など優先順位をつけて選ぶとある程度選びやすくなります。予算を決める際、運送費や工事費もかかる場合もあるので気をつけましょう。
照明の配置を決める
最後に、照明の配置を決めます。天井にどのような配置で照明を設置するのかをプランニングします。プランニングの際は、まずは部屋の明るさを確保する「主照明」から配置を考え、それが決まってから間接照明などの「補助照明」の位置を決めていくと決めやすいです。新築の場合、最終的な照明の位置は、現場監督や電気屋さんと一緒に現場で最終確認をするようにしましょう。
照明の高さや、光源の見え方など、図面だけでは想像しにくいことも、現場で一緒に確認することでよりわかりやすくなります。
部屋別で考える照明計画
部屋別で考える照明計画を解説します。
部屋の用途によって、必要な明るさや電球の色は異なってきます。
それぞれの部屋別で考えるべきポイントについてみていきましょう。
リビング
リビングは、家族が集まる場所です。
家族が団欒したり、テレビをみたり、勉強や仕事などをしたりすることもあるでしょう。
つまり、様々な用途で使われる可能性があるということです。
様々な用途で使われることを考慮して照明を選ぶ必要があります。
光の強さを変えられる調光機能や、光の色を変えられる調色機能のある照明があれば、様々なシーンで光の具合を変えられるのでおすすめです。
映画鑑賞などムードある雰囲気も出したいなら、間接照明を加えるのも良いでしょう。
また、シーリングライトなど1種類の照明だけでなく、ダウンライトやペンダントライトなどを組み合わせてみるのもおすすめです。
複数の種類の照明を取り入れることで、光に奥行きが出ておしゃれな空間になります。
ダイニング
ダイニングは食事をする場所なので、食事が美味しく見えて一緒に食べる人の表情もしっかりと見えるようにしなければなりません。ダイニングテーブルの上の料理を美味しく見せるなら、オレンジ色の電球色や温白色のペンダントライトがおすすめです。他にはテーブル上にダクトレールを設置してスポットライト複数台設置して料理と人の顔をピンポイントで照らすのも良いでしょう。
キッチン
キッチンでは細かい作業をするので、明るく照らす照明が必要です。また、自分の影でシンクや手元が暗くならないように照明を配置しなければなりません。シンクの上や調理スペースの上に手元灯を設置するようにしましょう。
また、独立型のキッチンならシーリングライトやベースライトがおすすめです。
今流行りのアイランドキッチンならペンダントライトを取り入れるとおしゃれになります。
玄関
玄関は外から来た人を出迎える場所です。
お互いの顔が明るく見える照明を選ばなければなりません。
段差や収納がある場合は、安全面を考慮して足元灯を設置するのもおすすめです。
その他にも足元を照らす間接照明を下駄箱の下などに灯すことでより華やかになります。
また、照明付きの鏡があれば、外出前の最後の身だしなみチェックもできるのでおすすmです。
寝室
寝室は1日の疲れを癒す場所です。
寝る時に視界に照明の光源が入らないように照明の配置にも工夫しなければなりません。
フットライトやスポットライト、スタンドライトなどの間接照明を使って、目に強い光が入らないように工夫するのが大切です。
調光機能付きの照明を選べば明るさを調整できるので、自分が眠りやすい明るさに調整することもできます。
また、寝室には青白い昼光色の光ではなく、オレンジ色の電球色がおすすめです。
電球色は見た目にも温かみがあり、リラックスできる効果が期待できるので、1日の疲れを癒す寝室にはうってつけです。
部屋における照明計画での失敗例
照明計画をして、失敗した事例を紹介します。
失敗例も参考にして、バランスの良い照明計画を検討しましょう。
ライトを多く設置しすぎた
部屋が暗くならないようにライトを多く設置するというケースは、照明計画のよくある失敗例の1つです。明るさが足りなかったからといって施工後に照明を追加すると余計な費用がかかってしまうため、そうならないようにライトを多く設置する人は多いです。ただ、ライトを多くつけると明るくなりすぎてしまい、落ち着かない空間になってしまいます。部屋の広さに合ったライトの数を設置するようにしましょう。明るさが気になる場合は、設計士に明るさを検討してもらい、適切な数の照明をつけてもらうのがおすすめです。
照明の色を確認してなかった
照明の色温度が統一されていないとまとまりがない空間になってしまいます。異なる照明器具を同じ空間にいくつも配置する場合は、必ずライトの色が統一されているのかを確認するようにしましょう。調色機能がある場合も、他の器具と意図が合うかを確認することが重要です。
ダウンライトだけで殺風景になった
ダウンライトだけで照明計画をすると、すっきりしたシンプルなデザインになります。
ただ、それだけでは空間に立体感がなく、殺風景になりやすいです。
また、書斎などのデスク上にダウンライトを配置すると、手元が頭の影になって作業もしづらくなります。
洗面室でもダウンライトだけだと顔色がよくわからなくなりお化粧がしづらくなるでしょう。
部屋の用途に合わせてダウンライト以外の照明もうまく使い分けるようにしましょう。
落ち着ける部屋を作る照明計画のポイント
ここからは、落ち着ける部屋を作る照明計画のポイントを紹介します。
- やわらかい光で空間を作る
- 照明を低い位置に取り付ける
- 間接照明を取り入れる
- 光によって不快さを感じないかチェック
- 光の色を意識した空間づくり
それぞれのポイントを解説していきます。
やわらかい光で空間を作る
照明計画を立てる際、1部屋に1つの主照明だけを採用せず、やわらかい光を発する補助照明を部分的に使うようにしましょう。
明るさが必要なところと明るさが必要ないところで陰影の差を作ることで、くつろぎ空間を演出できます。
明かりを集める部分であるあかりだまりを作ることで、暗い部分が強調されてリラックスモードに切り替えられます。
照明を低い位置に取り付ける
人は低い位置にある光に安らぎを感じます。
その特性を生かして、照明を低い位置に取り付けることで、よりリラックスした空間を作れます。
ただ、すべての照明が低い位置にあるとバランスが悪くなるので、全体のバランスをみながら照明を配置しましょう。
間接照明を取り入れる
間接照明は壁や天井、床を照らすことで柔らかい空間を演出してくれます。勉強や細かい作業をするには明るさは不十分ですが、寝室でリラックスしたい時などにはおすすめです。
光によって不快さを感じないかチェック
不快な眩しさのことをグレアといいます。グレアがあると、人は寛げないだけでなく目の障害や見えづらさによる事故にも繋がる可能性があります。特にLEDライトは電球や蛍光灯よりも眩しさを感じやすいです。寝室にダウンライトを設置する場合、寝転がった時に眩しさを感じないように照明の配置を考えなければいけません。
光の色を意識した空間づくり
電球には、電球色・昼白色・昼光色など様々な色があります。オレンジ色の電球色はリラックスできる空間におすすめですが、読書など細かい作業をする際には明るさが足りません。昼光色は青白い光を発し、とても明るいので細かい作業をする際にはおすすめです。ただ、脳が活性化されやすいので寝室のようなくつろぐ空間では不向きです。昼白色は自然光に近い色をしています。そのため、化粧をした時に外に出た時の差があまりないため、化粧ムラができにくいです。このように光の色によって、適切なシーンは異なってきます。光の色と効果を参考に、部屋の用途に合わせて適切な照明を選ぶようにしましょう。
まとめ
部屋の照明計画について解説しました。照明計画を立てる際には、部屋の用途に合わせて明るさや光の色を選んでいきましょう。また、照明器具も用途に合わせて選ぶのが重要です。これまで解説したことを参考に、部屋の照明計画を立ててみましょう。