起業して飲食店を開きたい!手順や注意点を解説

自分で飲食店を経営したいと考えたことはありませんか。
飲食店の開業は独立起業のよくあるパターン、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
実際のところ起業で飲食店を持つには、どのような段取りが必要なのでしょうか。
本記事ではその手順や注意点を解説します。

起業で飲食店を持つには

カフェ

焼き鳥屋・ラーメン屋・洋食店・バー・カフェ・・・
飲食店と言っても様々ですが、開業にあたっての基本的な留意点においては共通していることが色々あります。

開業資金が必要

世の中には独立資金なしで開業できる業種もありますが、飲食店の場合はそういうわけにはいきません。
店を開く場所の賃貸料・店としての体裁を整える工事費用・設備什器の購入もしくはリース料・食材の仕入れ代金・バイトの人件費・・・
そういった諸々の費用がかかってきますので、開業資金を用意しなければなりません。
店の規模や形態にもよりますが、通常は最低でも数百万円は必要でしょう。
開業にかかるコストを抑えたいから自分で屋台を引く、という場合があるかも知れませんが、それでも屋台の調達や食器・食材などに最低限100万円程度の費用はかかります。

経営計画をしっかり立てる

開業資金を金融機関からの融資でまかなうなら、しっかりした経営計画の立案は必須です。
実現性が高く一定の収益性が見込まれる計画でないと、銀行などはお金を貸してはくれません。
借り入れに頼らない場合でも、やはり経営計画はきちんと立てるべきです。
料理が好きだという気持ちがあっても、お客様が少ない・経費がかかり過ぎるなどで赤字が続いてしまうと、お店を開けておくこと自体が難しくなります。
飲食店の経営計画を立てる上で押さえるべきは、客単価と回転率です。
出そうと考えている料理がいくらなら代金を払ってもらえ、同時に何人のお客様に食事していただき、それが何回転程度見込めるか。
回転率については少し厳しめに見積もって、売上予測を立てましょう。
売上予想ができたら、今度は経費の見積もりです。
家賃・光熱費・材料費・人件費などでどのぐらい必要か、こちらは少し多目に予想しましょう。
もし専業で起業するなら、自分自身の生活費も忘れずに折り込んでおく必要があります。
こうして立てた売上予測から経費予測を差し引いて、売り上げの10%程度以上利益が残るようなら健全な経営が見込めるでしょう。

チャレンジ精神やホスピタリティが大事

飲食店の経営者には、チャレンジ精神が求められます。
独立して飲食店を起業するという時点で既にチャレンジングではありますが、挑戦はそれだけにとどまりません。
お客様に喜んでいただいたりリピートしてもらうために必要な工夫を、色々考えてトライしていく必要があります。
運よく最初からお客様に大受けすればよいですが、思ったより反応が悪かった場合にすぐ次の手を考えて実行していないと、そのまま赤字に転落してしまうからです。

こうしたチャレンジ精神と共に、お客様をおもてなしするホスピタリティも飲食店経営者にとっては重要です。
飲食店には接客業としての側面があります。
仮に経営者自身は接客しないとしても、お客様が不快な思いをしていないか・提供した料理に満足いただけているかなどが気にならないようでは、その店の成功は難しいでしょう。
世の中には店主の頑固親父が名物になって、繁盛しているようなお店も確かに存在します。
しかし最初からその路線を狙ってお客様の接遇を二の次にするということは、相当リスクが高いと言えます。
客商売をする以上はホスピタリティが必要だということを、理解しておきましょう。

起業で飲食店を開く手順

飲食店を開業するためには、色々な準備が必要です。
ここではひとまず最低限必要な事項について、押さえておきましょう。

物件を探す

飲食店を開くためには、そのための場所が必要です。
通常は店舗用の賃貸物件の中から、候補を探すことが多いでしょう。
集客を考えると駅・オフィス街・繁華街の周辺が理想ですが、そういう場所は家賃も高いことがほとんどです。
郊外でも住宅街であったり、幹線道路沿いで駐車場があれば一定数の来店客が見込まれるでしょう。
賃貸以外の方法としては、自宅の一部を改装して飲食店にする・キッチンカーなどで移動式の飲食店を開くなどがあります。
いずれの場合でも店舗の立地は、売上に大きく影響します。
綿密なリサーチをしたうえで決定するのがよいでしょう。

内装や設備を整える

出店場所が決まったら、店舗としての体裁を整えるための工事を行います。
元々飲食店だったところを居抜きで使うような場合は別ですが、通常は全面的な内装工事で店舗の見た目を理想へと近付けていきます。
内装工事に先立って、店舗設計をデザイン事務所に依頼する場合もあります。
多くの場合、キッチンなどの水回り工事も必要になるでしょう。
また店内に配置するテーブル・椅子・食器・調理器具等の、設備・什器も揃えなければいけません。
新品または中古品を購入する以外に、リースを利用する方法もあります。
こうした準備は大変な一方、開業の夢がぐっと具体的になってくるのできっと楽しく感じられることでしょう。

役所などへの申請

起業で飲食店を開く場合、勝手にお店を始めるというわけにはいきません。
役所などへの各種届出を行わなければなりません。
主なものとして、以下のような申請が必要となります。

税務署関係

・個人事業の開廃業等届出書
・個人事業税の事業開始等申告書
・所得税の青色申告承認申請書

保健所関係

・飲食店営業許可
・麺製造業許可申請(自家製麺を提供する場合)
・菓子製造許可申請(店舗で製造した菓子を店頭販売する場合)

消防署・警察署関係

・消防管理者選任届
・防火対象設備使用許可届
・火を使用する設備などの設置届
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜0時以降アルコールを提供する場合)

ここに挙げたものは、あくまで代表的なものです。
お店の営業形態や開業する地域によって、他にも色々必要となる場合があります。
こうした手続きが特に苦手な場合は、税理士や行政書士などにサポートしてもらうことも可能です。
ただし税理士や行政書士に提出する書類はある程度自分で記入したり揃えたりしなければなりませんので、完全に丸投げというわけにはいきません。
書類が多くて面倒ですが、後でトラブルにならないよう最初からしっかりと手続しておきましょう。

仕入れやプロモーション

いよいよ開店間近となったら、食材や飲料を仕入れます。
まずは準備期間のうちに、仕入れ先を開拓しなければなりません。
フランチャイズチェーンで開業する場合は本部から配送されてきますが、完全な個人営業であれば良い品を安く仕入れることができるお店や卸業者を探しましょう。
小売店で普通に購入するのも、小規模な店舗ではよく行われることです。
普通の価格で買うことになるため原価率は上がりますが、少量から仕入れることができるというメリットもあります。
卸業者から仕入れる場合は卸価格となるので原価率を圧縮できますが、ある程度まとまった量を買わなければいけません。
お店の規模や食材の種類などに合わせて、上手に使い分けるのがよいでしょう。

また、お店のオープンについては事前に宣伝した方が集客できます。
チラシの投げ込みやフライヤーの掲示などが、スタンダードなプロモーション方法です。
費用をかけずにできることとしては、SNSを利用した宣伝が有効です。
先着何名までのオープン記念グッズ進呈や口コミ投稿によるプロモ割引など、あまり当日オペレーションの負担にならないような特典を考えて発信しましょう。

飲食店による起業の注意点

カフェ照明

起業の飲食店の開き方について、だいぶイメージができてきましたか?
最後に開業にあたって気を付けた方がよい点について、見てみましょう。

小規模スタートでリスクを最小化

余剰資金が潤沢にある場合以外は、開業に伴うリスクは極力小さくしておくべきです。
あまり考えたくないことではありますが、計画通りに経営が成り立たず早期に廃業せざるを得ないような事態もあり得るのです。
万が一そのようなことになった場合にダメージを抑えるには、スモールスタートが一番です。
たとえば最初は店主のみ、もしくは店主と配偶者のみで開業すれば、万一売り上げが思うように立たなかった場合でも人件費の心配をせずに済みます。
一人営業を前提とすると、店舗の規模もおのずと小さくなるでしょう。
店舗が小さければそれだけ家賃・工事費・光熱費なども圧縮できます。
最初は色々不慣れな中でもお客様ひとり一人に目が届き安く、丁寧なコミュニケーションが可能です。
こうして余裕をもって切り盛りできる規模で実績を積むようにすれば、不測の事態は起こりにくくなります。
お店が軌道に乗ってから規模の拡大を考えるようにすることで、堅実な経営ができるのです。

運転資金をしっかり確保する

開業資金というと、物件の取得費や工事費のみを考えがちです。
しかし開業から経営が軌道に乗るまでの間、売り上げが少なくてもお店を継続できるようにしておく必要があります。
そのための現金が運転資金です。
運転資金は、家賃・光熱費・人件費等各種経費合計額の6ヶ月分程度は必要と言われています。
忘れがちなのが、経営者本人の生活費です。
それは経営者個人の資産でまかなえる、という場合も当然あるでしょう。
しかし趣味で開業するのではなく飲食店の起業で生計を立てていこうとしているのであれば、経営者の収入も店の会計とセットで考えるべきと言えます。

コンセプトを明確にする

初めて飲食店をオープンする際、検討段階で色々な情報に接して目移りしてしまうことがあります。
しかし最終的には、「こういうお店にしたい!」という経営者の思いが一番重要です。
どんな飲食店にするのか立地選定や店舗設計の段階からしっかり検討・意識することで、その店舗独自の価値を生み出しやすくなります。
このように店舗固有の価値がお客様に伝わるように工夫することをブランディングといい、売上にも影響してきます。
経営者の思いとお客様の求めるものが合致したときブランディングは成功し、新規顧客やリピーターの獲得につながるのです。
起業して開業する飲食店でお客様にどんな価値を提供したいのか、コンセプトを明確にするようにしましょう。

まとめ

以上で本記事を終わります。
起業して飲食店を開くには、十分な資金としっかりした経営計画が必要です。
リスクを最小化するためには、スモールスタートを心がけるとよいでしょう。
どういうお店にしたいか明確なイメージを持って、開業準備を進めるようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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