現在美容師として働いている方や、美容師を目指して勉強中の方の中には、「夢は独立して自分の美容室開業!」という方も多いことでしょう。
しかし、どんなに美容師としての経験を積んでいても、自分のお店を開業するとなると、簡単なことではありません。ここでは、美容室開業に必要な準備や手続きについて説明します。
【美容室開業】必要な免許や資格は?
美容室を開業するには、「美容師免許」と「管理美容師」の資格が必要になります。
美容師免許
美容室を開業するには、「美容師免許」を取得していなければなりません。美容師免許は国家資格でもあり、取得するには厚生労働省指定の美容師養成施設で所定の学科を取得し、実技試験と国家試験に合格する必要があります。
管理美容師の資格
1人で経営するのではなく他のスタイリストを雇う場合、「管理美容師」の資格も必要になります。管理美容師の資格を取得するには、「美容師免許取得後3年の実務経験」と「都道府県で実施している講習を終了していること」が必要となります。
【美容室開業】お店のコンセプトを決めよう!
美容室を開業するには、まず始めにどんな美容室にしたいかという“コンセプト”作りから始めましょう。
「毎月通えるヘアサロン」
「ネイルやまつ毛カールもお任せ♪トータル美容を叶えます!」
「小さなお子様連れでも安心♪キッズスペース付き美容室」
など、お店の特徴を一言で表すことができるコンセプトを決めることが大切です。コンセプトがはっきりすることで、メニューや料金も決めやすくなります。
美容室の開業の際は、物件にかかる費用や工事費用、機材や備品・消耗品の準備など、多額の資金が必要になります。しかし、全て自己資金でまかなうことは難しいため、借り入れなどで資金調達する必要があります。
金融機関から借り入れる
自己資金では開業資金が不足する場合、金融機関に融資を申し込むケースが多くなっています。まずは融資を受けたい金融機関に相談に行きましょう。連帯保証人や担保の有無によっても必要な書類や手続方法は変わりますので、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
開業の際は「創業計画書」の提出が必要になり、設備資金も借りたい場合は「見積書」や「事業計画書」の提出も必要となります。必要書類がそろったら面談を行い、融資を受けられるかが決定します。融資実行まで1ヶ月程度かかることもあるため、早めに動くことが大切です。
クラウドファンディングで集める
最近では、クラウドファンディングで資金を募るという方法もあります。期間内に希望の資金が集まるという保証はありませんが、開業に応援してくれる方々と繋がりを持てるというメリットもあります。
補助金や助成金をもらう
新規で開業する場合、条件を満たせば活用できる補助金や助成金があります。知らないと貰えるものも貰えなくなってしまうため、開業の際はインターネットなどで調べておきましょう。
【美容室開業】物件はどうする?
交通の便がいい駅近くがいい、車で来店してもらえるように駐車場付きの郊外がいいなど、店舗を構える場所はターゲット層も考慮して決める必要があります。
インターネットで情報収集したり、狙っている地域の不動産屋さんに足を運んでリサーチしましょう。ネット上の情報だけで決めるのではなく、必ず物件を自分の目で見ておく必要があります。
【美容室開業】店舗の内装・外装工事
美容室は日常を忘れることができるちょっと贅沢な空間ですよね。内装がオシャレかどうかは、経営に直接係わる重要なポイントです。
美容室の内装工事はこだわるほど費用が増えてしまいますが、相場は1坪あたり30万円~40万円といわれています。お店のコンセプトに合った内装にし、統一感を持たせることが大切です。
また、美容室では髪のカラーの仕上がりなどをチェックするために、照明器具選びも重要なポイントになってきます。インテリア同様、照明器具もこだわって選んでみましょう。
美容室を開業するにあたって、「美容室開設届」「消防検査」「開業届」が必要になります。それぞれ内容を詳しくみてみましょう。
保健所に「美容室開設届」の提出
「美容室開設届」には、床面積が13㎡以上必要などという条件や、備品の状態などについて細かくチェック項目があります。
内装工事を行う前に、図面などを保健所に持参して相談しておくといいでしょう。
消防署の「消防検査」を受ける
「消防検査」とは、消防用設備が設置されているか、それらが正しく作動するかなどを消防署が確認する検査です。消防署の定める基準をクリアしなければならないため、内装・外装工事をする際は、消防署に相談してみましょう。
税務署に「開業届」の提出
「開業届」とは、開業後1ヶ月以内に所轄の税務署に提出しなければない届出です。税務署に用意してある「個人事業の開業・廃業等届出書」に必要項目を記入して提出するだけでOKです。
美容室を開業するには、大きな備品や消耗品まで、準備しなければいけないものがたくさんあります。チェックリストを作って、漏れのないようにしましょう。
美容室に必要な大型備品
美容室を開業するには、スタイリングチェアや大きめの鏡、シャンプー台、パーマ用機材、空調設備、洗濯機など、大きな機材が必要になります。シャンプーでお湯を使用したり、ドライヤーを同時に複数使用するケースが多いため、空調設備は大きめのものがベストです。
美容室専用の機材は価格も高額なため、リースを利用することで初期費用を抑えることができます。リースとはリース会社が購入した機材などを、月額を支払って一定期間レンタルするサービスです。購入ではないので資産にはならず、固定資産税がかからないというメリットもあります。
小型の備品や消耗品
美容室の営業には、ドライヤーやヘアアイロン、ハサミなどの道具の他にも、シャンプーやトリートメント、カラー剤、タオルなど複数の消耗品が必要になります。ゴム手袋やイヤーキャップなど1回きりの使い捨ての消耗品は、これからずっと発生していく費用です。
カラーやパーマなどの待ち時間にドリンクやお菓子を提供する場合、食器類や冷蔵庫も準備しなければなりません。また、待合スペースなどでお客様が退屈しないように、雑誌を数種類準備しておくといいでしょう。
レジ
会計の際に使用するレジシステムや、クレジット決済やQRコード決済の際に使う機材なども準備しておきましょう。美容室は高額な会計になることもあるため、クレジットが使えない場合お客様が不便に感じてしまいます。
BGM
美容室は非日常感を味わうことができ、リラックスできる空間ですよね。そのため、店内のBGM選びも大切です。BGMには著作権があるため、許可なく勝手に流すことはできません。著作権管理団体と契約を結ぶことで、その団体が管理しているBGMは全て使用することができるようになります。費用は年間6,000円ほどです。
また、店舗向けのBGM配信サービスには、幅広いジャンルごとに複数のチャンネルがあり、店舗に合ったBGMのチャンネルを選ぶことができます。こちらは月数百円~数千円で利用することができます。
予約システム
美容室を予約する際は、電話よりもインターネットを利用する方が一般的になってきました。インターネットでは24時間いつでも予約することができるため、電話が苦手な方も気軽に利用することができます。
店舗のホームページに予約ページを設けたり、美容室の予約サイトを利用しましょう。
まとめ
美容室を開業する際は、ケースに応じて必要な資格や届け出があるため、もれがないように確認しておきましょう。また、物件探しや資金調達、内装工事、備品の準備など、やるべきことがたくさんあります。
大切なのは、コンセプトがしっかりしていることです。最初に決めたコンセプトに沿って、計画的に準備していきましょう。