最近寝つきが悪くなり、十分な睡眠時間が取れない方は、この記事で得られる情報を問題解決に役立てましょう。睡眠の質を高める工夫も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠時間が不十分な方はどのくらい?
日本人は忙しく働いているイメージがあり、十分な睡眠時間が取れていない印象もあります。実際は、どのくらいの割合で睡眠時間が不足している方がいるのか見ていきましょう。
睡眠時間が不足している方の割合
厚生労働省が行った調査によると、睡眠時間が不十分な方の割合は、男性で19.7%、女性で19.6%です。このデータから日本国民のほぼ5人に1人が、睡眠の質が悪いことを意味しています。けれども、睡眠の質が悪いことを自覚していない方も多いため、睡眠不足の方がさらに多いと考えられます。
休日以外仕事に追われる日々で、たまの休みくらいしかゆっくり体を休められない方が少なくないでしょう。普段仕事で忙しい方ほど、平日よりも休日の方が寝る時間が多くなり、睡眠負債の多くを休日で返さなくてはなりません。睡眠の質さえ高くなれば、睡眠負債を返しやすくなりますので、睡眠の質を高める方法をご覧ください。
睡眠の質を低下させる原因①
睡眠の質が悪くなる原因は様々で、生活習慣や寝室環境も大きく関係しています。ストレスも睡眠の質に影響します。仕事でイライラしたり、ミスが重なることでストレスが溜まり、睡眠の質を低下させてしまうのは、なるべく避けたい切実な問題です。
生活習慣
光のコントロールが睡眠の質低下に関係があって、就寝前のスマホいじりが挙げられます。スマホの画面から発せられるブルーライトが、良質な睡眠に不可欠なメラトニンの分泌を減少させてしまいます。そのため、スマホの画面を見ているうちに眠気が薄くなってきて、睡眠の質低下に繋がってしまうわけです。スマホ人口の増加に伴い、睡眠の質が悪い方が多くなっていくのが懸念されます。寝る前についついスマホを見てしまう方は、睡眠の質を低くする生活習慣を見直しましょう。
寝室環境
温度と湿度、広さ、明るさ、音などの寝室環境も睡眠の質に関わってきます。暑すぎたり寒すぎたりする部屋だと快眠しにくくなり、睡眠の質が悪くなる恐れがあります。寝室では、ブルーライトを減らせる照明の配置や、テレビやパソコンを設置しないなどの工夫が必要です。
図書館並みの静けさの40dBA(デシベルエー)以上の音も、睡眠の質に影響を及ぼすため、40dBA以下が睡眠中の音環境として理想的です。換気扇やクーラーなど50dBA以上になると半数の人は睡眠が妨げられるため、静かな寝室環境の確保も重要です。逆に感覚刺激が少なく暗くて無音な環境だと、覚醒度が高まってしまい、些細な音が気になってかえって眠りにくくなります。そうした寝室環境が、不安感や緊張感を高めてしまうため、静かすぎない寝室環境へと変えていかなくてはなりません。
ストレス
ストレスも睡眠の質低下の要因で、長時間労働などでストレスを溜め込んでいる方は要注意です。睡眠の質低下で、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高くなります。記憶力や判断力、集中力の低下も引き起こし、気分の落ち込みでうつ病になるリスクが高くなります。
ストレスが原因で、自律神経のバランスを崩してしまいます。ストレスが多い生活を続けていると、夜になっても副交感神経に切り替えられず、自律神経のバランスが乱れてしまいます。そのため、夜になっても交感神経が優位のままで眠れなくなり、睡眠の質低下となってしまうわけです。
睡眠不足の方は、十分な睡眠が取れている方と比べて、ストレスに弱くなりがちです。睡眠不足が続き、睡眠中に分泌されるコルチゾールの量が少なくなりすぎると、日中のストレスの影響をより受けやすくなります。睡眠の質低下で睡眠不足に拍車を掛けてしまいます。ストレスにさらされやすい負のスパイラルから抜け出すには、睡眠の質改善に取り組むことが大切です。
睡眠の質を低下させる原因②
カフェインの摂取や二度寝も、睡眠の質を低下させる原因です。何故それらが睡眠の妨げとなるのか説明します。
カフェインの摂取
夕食は、カフェインの摂取をなるべく控えましょう。カフェインにはアデノシンが結合するのを阻害する性質があるため、ヒスタミンの放出が抑制されなくなって眠気を感じにくくなるからです。習慣的にカフェインを摂取する人の場合、不眠症状を抱える可能性が高くなります。過剰なカフェインの摂取により、寝つくまでに掛かる時間が長くなり、睡眠効率を低下させてしまいます。
カフェインには利尿作用もあるため、尿意で何回も夜中に目覚めてしまい、結果として睡眠の質を悪化させてしまいます。睡眠の質低下が心配な方は、カフェインの取りすぎにくれぐれも気を付けてください。
二度寝
二度寝で質の低い浅い睡眠となり、睡眠周期のバランスが崩れてしまい、睡眠の質が低下してしまいます。特に朝が辛い方は、ついつい二度寝していませんか?少しでも長く寝たくて二度寝したくなるのは仕方ありません。しかし、睡眠の質を悪化させてしまうことを考えれば、二度寝をしないように生活習慣を見直すことが大事です。
それでも急に、翌日から二度寝をしないようにするのは難しいので、少しずつ二度寝から遠ざける習慣を身に付ける工夫が必要です。朝に余裕がない平日などでは、二度寝を5~15分以内にしましょう。15分よりも長く寝てしまうと、浅い眠りから深い眠りに入ってしまうので、目覚めたときの不快感が強くなってしまいます。せめて二度寝の時間を短くできれば、睡眠の質低下から抜け出す可能性が高くなります。
睡眠の質を高める工夫
睡眠の質を高めるには、グリシンの摂取が有効です。就寝前にグリシンを摂取することで、翌日の眠気が改善されたという研究結果が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)で発表されました。グリシンを多く含む食品は、ほたて貝柱(煮干し)で7700mg、するめで5000mg、かつお削り節で3500mgなど含有量が高いです。グリシンの摂取を習慣にすることで、睡眠の質低下を食い止めて、徐々に眠りに就きやすい生活へと変化していくのが期待できます。
起床後に日光を浴びる
休日に朝寝坊をして日光浴を逃してしまうと、体内時計が崩れてしまい、翌日から起きるのが辛くなってしまいます。朝起きてすぐに日光を浴びることで、体内時計を調整して、眠りに就きやすい体質に変化していきます。日光浴で体内時計がリセットされて、活動状態に導かれます。
体内時計からの信号でメラトニンの分泌が止まります。メラトニンは、目覚めてから14〜16時間ぐらい経過後、体内時計からの指令が出て再び分泌されます。徐々にメラトニンの分泌量が多くなり、深部体温が低下して眠気を感じるようになります。メラトニンの分泌タイミングも含めた日光浴で、睡眠の質を高めることも重要です。
軽い運動
夕方から夜にかけての軽いウォーキングで、脳の温度が一時的に上がり、横になってからの脳の温度が通常時より下がって寝つきが良くなります。ただし夕方から夜間にかけての単発的な運動では、睡眠の質向上を期待できないため、習慣的に軽い運動をした方が効果的です。体に負担が掛かりすぎず、ストレスなく継続できる運動なのかが重要なので、自分なりに継続できる運動を探す努力も睡眠の質改善に不可欠です。
まとめ
睡眠の質を上げるための方法をお伝えしましたが、どれか一つでも実践できそうなことがありましたら幸いです。一人でも多くの方が、睡眠の質を高めるための一歩を踏み出せることを願います。