住まいで使う照明器具の選び方には、さまざまな視点があります。 どの部屋で、主に誰が、どのような場面で使うのか、どんな雰囲気にしたいのか、など条件によって選ぶべき照明器具のタイプや光の色は変わってくるものです。
ここでは住まいの照明器具を選ぶにあたって知っておきたい基礎知識と、設置する空間に注目した選び方、照明器具の機能や性能に注目した選び方などをご紹介していきます。
選び方の前に! 知っておきたい照明器具の基礎知識
照明器具を選ぶにあたって、まずは照明器具に使われるランプの種類や照明器具の種類など基本的なことを知っておくと便利です。
ランプ(光源)の種類と特徴
家庭用の照明器具に使用されるランプには、主に白熱電球、蛍光ランプ(蛍光灯)、LEDランプ(LED照明)があります。それぞれの特徴を知っておきましょう。
白熱電球
白熱電球は、温かみのある光が特徴のランプです。以前は家庭用照明器具に多く利用されてきましたが、地球温暖化防止のために製造中止を国が呼びかけ、現在では国内の多くのメーカーが製造を中止しており入手困難となっています。
低価格で購入できて、スイッチを入れるとすぐに点灯します。やわらかいオレンジ色の光で、食べ物をおいしく見せたり、リラックス効果などが期待できるため、ダイニングやバスルーム、玄関など家庭内のさまざまな場所に向いています。
デメリットとしては寿命が短く頻繁な交換が必要なことや、熱を放出しやすいため近くにいると熱さを感じやすいことなどが挙げられます。
蛍光ランプ(蛍光灯)
蛍光ランプは、白熱電球に比べて寿命が長く消費電力が少ないことが特徴のランプです。光の色はやや青白くさわやかさを感じさせる「昼光色」、白っぽく自然光に近い「昼白色」 、電球の光の色を再現した「電球色」の3色から選べます。
均一に明るく照らすのが得意なため、子ども部屋や作業部屋などに向いています。また、キッチンや作業スペース、勉強机などの手元灯としてや、洗面所の鏡を照らすミラー灯として用いられることもあります。
コストパフォーマンスの良さが魅力の蛍光ランプですが、点灯してから本来の明るさになるまでにやや時間がかかったり、寿命は長いものの設置から数か月、数年と時間が経つにつれ暗くなったりチラつきやすくなったりといったことが起こりやすいというデメリットもあります。
LEDランプ(LED照明)
白熱電球や蛍光ランプと比べて歴史が新しいのがLEDランプです。LEDランプは、蛍光ランプよりさらに寿命が長く消費電力が低いため、次世代のランプとして一般家庭の照明器具にも広く用いられるようになりました。
さまざまな色の光を出すことができるため、用途に応じて選ぶことができます。実用化され始めた当初は、値段が高いことやLED基板が発熱しやすいことがデメリットでしたが、現在ではかなり改善されています。ランプの価格は、蛍光ランプと比較すると高額ですが、寿命が長くランニングコストは低いため、結果的にコストパフォーマンスは高いと言えます。
LEDランプの光は指向性が高く拡散しづらいという特徴があるため、均一な光が求められる場面では照明カバーなどを工夫する必要があります。
照明器具の種類と特徴
照明器具は設置する位置や方法によって、さまざまな種類のものがあります。
住まいに用いられることの多い、主な照明器具の種類をご紹介します。
シーリングライト
天井面に直接取り付けるタイプの照明器具です。丸形のシンプルなカバーが付いたものを全体照明用として用いるのが一般的ですが、これ以外にもスポットライトタイプ、ファン付きのもの(シーリングファンライト)など多彩な形状、サイズのシーリングライトがあります。
ペンダントライト(天井照明)
天井からコードやチェーンで吊り下げるタイプの照明器具です。天井より低い位置に取り付けるため視界に入りやすく、ダイニングやキッチンをはじめさまざまな空間でインテリアのアクセントにもなる照明として用いられます。デザインやサイズのバリエーションも豊富です。
ダウンライト
天井に埋め込む形で設置するタイプの照明器具です。天井面がフラットになるため、すっきりとした空間を演出できます。照らす範囲は狭めなので、リビングなど広い部屋で使う場合は複数使うケースが多いです。玄関や廊下、階段、キッチンなどにもよく使われます。
ブラケットライト(壁照明)
壁面に設置するタイプの照明器具です。ペンダントライト(天井照明)同様、視界に入りやすいことからインテリアのアクセントとして使いやすい照明で、デザインやサイズのバリエーションが豊富です。リビングや寝室、階段、廊下、玄関、バスルームなどによく使われます。
スポットライト
集光性が高く、狙った場所をピンポイントで明るくすることに適したタイプの照明器具です。設置方法は天井やダクトレールに取り付けるもの、置き型のものやクリップ型のものなどいろいろなタイプがあります。ポスターや花びんなどを照らしてアクセントにしたり、手元灯など明るさを足したいところを照らしたり、壁や天井を照らして間接照明のように使用したりとさまざまな用途に使われます。
設置する空間別 適した照明器具の選び方
住まいの照明は、設置する空間によって向いているものが異なります。どの部屋にどんな照明器具を使うのかを計画する際の考え方のポイントを空間別に確認していきましょう。
リビング、ダイニングの照明器具の選び方
家族が集まるリビングおよびダイニング。近年ではリビングとダイニング、キッチンが一続きになったLDKと呼ばれる間取りが主流ですね。
リビングやダイニングは、食事や家族団らんに使われる空間です。また、家事スペースとして使ったり、お子さんのいるご家庭ではプレイスペースや勉強場所として使ったりすることもあるでしょう。
こうした幅広い用途に合わせて、照明も明るさや照らし方などを変化させられるようにすると便利です。シーリングライトで全体を明るく照らすとともに、明るさを足したい場所にはスポットライトやスタンドライト、ブラケットライトなどの補助照明を用意しておくのがおすすめです。
光の色については、ソファやダイニングテーブルなどまわりには、リラックス感を演出しやすく食べ物がおいしそうに見えやすい電球色がおすすめ。一方、子どもが遊んだり勉強したりする場面には昼白色や昼光色がおすすめです。調光機能を持つ照明を取り入れたり、全体照明と部分照明で変えたりすると良いでしょう。
廊下、階段の照明器具の選び方
廊下や階段の照明選びは、安全性を重視するのが大切です。特に階段で足元が見えづらいと踏み外しや転倒、転落といった思わぬ事故につながりかねません。すみずみまでしっかりと照らしつつ、視界に入ったときに眩しさを感じさせないよう、選ぶ照明や設置する角度などに気を配りましょう。
足元を照らすフットライトは、階段、廊下ともにおすすめな照明です。天井のダウンライトなどと合わせて使うことで安全性が高まります。人感センサー付きで自動点灯、消灯するものを選べば、夜間の移動の際なども便利です。
寝室の照明器具の選び方
寝室は就寝前の落ち着いた過ごす場所。照明もリラックス感と快適さを意識して選びたいところです。
視界に直接光が入ると眩しく感じて入眠の妨げになるので、寝室の全体照明はカバーに覆われたものを使ったり、ブラケットライトやダウンライト、間接照明などを活用したりすると良いでしょう。光の色は温かみのある電球色がおすすめです。 常夜灯も睡眠の妨げにならないよう、足元灯にするのが理想です。ベッドに横になったときに視界に入らない位置に設置しましょう。
バスルーム、洗面所の照明器具の選び方
バスルームや洗面所などの水まわりの照明選びでは、故障などトラブルを避けるためまず防湿・防雨型のものを選ぶことが大切です。 清潔感が大切な場所なので、全体照明はすみずみまで照らせるものを。洗面所では全体照明とあわせて、鏡まわりを照らすミラーライトを設置するのがおすすめです。
機能性に注目した照明器具の選び方
設置する目的や場所によっては、機能を備えた照明器具を選ぶと便利なことが多いです。
どのような機能を備えた照明器具があるのか、主なものをご紹介します。
調光機能
調光とは、光の量を調節することを言います。明るさを段階的に調節できるので、日中の来客時などは明るく、落ち着いて過ごす夕食後は少し暗めに、夜更けはさらに暗く……など時間帯や利用シーンに合わせて部屋の明るさを調節できます。
調光機能は、照明器具自体についているものと、調光器と対応する照明を組み合わせて使うものがあります。
自動点灯・消灯機能
人感センサーによって、人を感知すると照明が自動点灯し、人が不在になると自動消灯する機能です。廊下や階段、玄関先、トイレや洗面所などに設置すると、夜間の安全性や利便性を高めるとともに、消灯忘れなどを防いで電気代の節約にもつながります。
電動昇降装置
照明器具を取り付け、スイッチやリモコン操作で昇降させることができる装置です。商業施設やホールなどで使われることの多い装置ですが、一般家庭でも吹き抜けや階段など、天井の高い位置に照明を取り付ける場合に昇降装置を使えば、掃除やメンテナンスがしやすく便利です。
まとめ
住まいの照明器具を選ぶにあたって知っておきたい基礎知識と、設置する空間に注目した選び方、照明器具の機能や性能に注目した選び方などをご紹介しました。
家族構成やライフスタイルによっても、選ぶべき照明器具は変わってきます。ここでお伝えした内容も参考に、設置する空間を家族でどのように使うのかをしっかりとイメージしながら、雰囲気や使いやすさを考えて選んでみてください。