LED照明を使って野菜を栽培できることをご存知でしょうか?
“食の安全”への関心が高まる昨今、家庭菜園を始めてみたいと考える方も多いと思います。自宅で育てた新鮮な野菜なら、安心しておいしくいただくことができますよね。 身近に植物の成長を感じられるので癒し効果も得られますし、お子さんのいるご家庭なら教育にも役立ちます。
とはいえ、 「うちはマンションだしベランダも狭いから野菜を育てるなんて無理そう」 とおっしゃる方も多いかもしれません。
スペースの都合で本格的な家庭菜園はできない場合は、屋内で葉物野菜やハーブなどを育ててみてはいかがでしょうか。栽培用のLED照明を使えば、屋内の小さなスペースでも日当たりなどを気にせず野菜栽培が可能なんですよ。
ここでは、LED照明を使った野菜栽培の魅力やメリットと、具体的なやり方やポイントなどをご紹介していきます。
LED照明で野菜を栽培できるのはなぜ?
基本的に、野菜が成長するためには「光合成」という働きが欠かせません。光合成は葉っぱに太陽の光を受けることで行われる働きなので、日光が当たらないところでは育ちが悪くなってしまいます。
ところがLED照明を使えば、日光が当たらない屋内でも野菜の栽培ができるんです。どうしてLEDで野菜が育つのでしょうか? その理由をご説明しますね。
光合成に使われるのは主に「赤い光」と「青い光」
太陽の光には私たちの目に見える光(可視光線)と、紫外線や赤外線といった私たちの目では確認できない光(不可視光線)が含まれています。このうち光合成に使われるのは可視光線の一部です。
可視光線は、波長の長さによって私たちの目にはさまざまな色の光として見えます。波長が長いほうから短くなるにつれ赤→橙→黄→緑→青→藍→紫、という具合に異なる色として見えているのです。
光合成に使われるのは、このうち波長の短い「青い光」と、波長の長い「赤い光」です。植物の葉っぱは、赤い光と青い光を吸収して、中間の黄色や緑の光をあまり吸収しない(反射する)ので緑色に見えるんですよ。
LEDなら必要な光を効率よく照射できる
野菜は、私たち人間にとって大切な食糧であり栄養源です。しかし、日光だけに頼って栽培していたのでは、日照時間や天候の違いによって成長が左右されやすいという問題があります。
そこで人工の光を使った野菜栽培は1950年代頃から試みられるようになってきました。中でも近年特に活用されるようになったのがLED照明です。
LEDとは「Light Emitting Diode」の略で、日本語では「発光ダイオード」と呼ばれます。「赤色LED」「青色LED」「白色LED」など、さまざまな色を発光できるのが特徴です。
つまりLEDなら、野菜が光合成するために必要な光を効率よく当てることができるのです。また、LED照明には従来の電球より寿命が長く消費電力が少ないという特徴もあります。こうした点でも野菜の栽培用の光源に向いていると言えます。
LED照明で野菜を栽培するメリット
屋内でのLED照明を使った野菜栽培にはさまざまなメリットがあります。代表的なものを見ていきましょう。
野菜の成長が早くなる
LED照明を使った野菜栽培なら、光合成に必要な一定の光を効率よく継続して野菜に当てることができます。このため天候や日当たりに影響されやすい屋外での栽培と比較して野菜の育ちがよく、早く収穫できるというメリットがあります。
野菜の栄養価が高くなりやすい
よく「旬の季節にとれた野菜は、ほかの時期より栄養価が高い」と言われます。旬の時期というのは、言い換えればその野菜にとって一番育ちやすい環境になっている時期です。光合成に必要な光を効率よく継続して当てられるLED栽培は、野菜にとって旬の時期に近しい環境です。実際に、品種により野菜の栄養価が高くなりやすいことがわかっています。
害虫や病気のリスクが低い
野菜のやわらかな葉は、虫がついたり病気にかかったりしやすいです。しかしLED栽培の場合、屋内だけで育てるため、こうしたリスクは屋外に比べてかなり低くなります。農薬や殺虫剤を使用せず栽培できるので、栽培した野菜を食べるときにも安心ですね。
ランニングコストが低い
LEDは他の電球と比較して消費電力が少ないため、少ない電気代で野菜栽培が可能です。風雨対策や害虫対策などの労力や費用もかからないため、栽培にかかるランニングコストは比較的低いと言えるでしょう。
家庭でもLED照明を使って野菜を栽培できるの?
「LEDで野菜を栽培するなんて、企業が大規模に野菜栽培をするときの話じゃないの?」と思われた方もいるかもしれませんね。
たしかに、事業としての野菜栽培にLEDを使用するケースも多いですが、最近では家庭でLED栽培を始める人も増えているんですよ。それぞれの違いを見ていきましょう。
事業としてのLED野菜栽培(植物工場)
野菜栽培を事業として行う場合、農地(畑)で太陽光を利用して栽培する以外に、近年では「植物工場」と呼ばれる、屋内で温度や湿度、光量などをコントロールした環境での栽培が増えています。
植物工場での栽培は、季節や気候、自然災害などに左右されることなく、安定した品質の野菜を供給できるのが魅力です。コントロールされた環境下での栽培なので、無農薬での栽培が可能で、安全性が高い点もメリットです。
植物工場の定義は広く、温室などで太陽光を利用するものもありますが、中にはビルの中などで人工光源や空調などで完全に環境をコントロールする「完全制御型」と呼ばれるものもあります。
こうした植物工場での光源として、従来は蛍光灯やナトリウムランプなども用いられてきましたが、現在はLEDが広く用いられています。LEDは特定の色を発光できる特性を持つことや、消費電力が少なく電気代を抑えられるといった利点があるためです。
家庭でのLED野菜栽培
LED照明の普及と家庭菜園の人気などを背景に、一般家庭でのLEDを利用した野菜栽培も増えてきています。 LED照明と小さなスペースがあれば栽培可能で、天候や温度変化などの影響を受けにくい分、初心者でも失敗なく育てやすいことなどが人気の理由だと言えるでしょう。
小さな家庭菜園! LED照明で野菜栽培を始めよう
家庭菜園の人気を受けて、近年では一般向けの植物育成用ライトも多く販売されるようになっています。中でも手軽で人気を集めているのが、LED照明を使った屋内での水耕栽培です。
水耕栽培というのは、土を使わず培養液を使って野菜を栽培する方法です。植物工場での野菜栽培にも取り入れられている方法なんですよ。土を使わなくても野菜を育てられるので、屋内での栽培にぴったり。土がこぼれて周りを汚してしまうこともないですし、害虫や病気など土を介して起こることの多い栽培中のトラブルのリスクも低いのが魅力です。
水耕栽培に向いているのは、サニーレタスやサラダ菜などの葉物野菜、それからバジルやミントなどのハーブ類です。ハーブ類などは「料理にちょっとだけ使いたい」ということが多く、スーパーでパック売りされているものだと多すぎて余らせてしまったりしやすいですよね。ご自宅で育てていれば、使いたいときに使いたい量だけ摘みとって、新鮮なハーブを使うことができますよ。
野菜やハーブをご自宅で栽培してみたいという気持ちはありながらも、マンション住まいなどスペースの問題で諦めていたという方は、LED照明を使ってキッチンやリビングの一角で小さな家庭菜園を始めてみてはいかがでしょうか。
LED照明を使った水耕栽培は、比較的少ない手間で野菜やハーブを育てることができます。しかし園芸初心者にとっては、「最初に何を買い揃える必要があるの?」「どんな照明を買えばいいの?」といったところが難しくて、始めるまでのハードルが高く感じてしまう方もいるかもしれませんね。
そんな初心者にとって便利なのがLED水耕栽培用キットです。LED照明付きの栽培器に、水耕栽培用の種子やスポンジ、液体肥料など最初に必要になるものが付属しているので、すぐに栽培を始めることができます。
特におすすめしたいのは「Akarina(アカリーナ)シリーズ」です。水耕栽培用の容器や照明は、機能性重視でデザインはイマイチ洗練されていないものも多いのですが、Akarinaはインテリア照明ブランドが開発した水耕栽培器。だから見た目もスタイリッシュでとてもかわいいんです。
大きさや形、色もいろいろあって、置く場所の広さや部屋のインテリアに合わせたものを選べるのも魅力です。
例えばコンパクトなシェルフ型の「Akarina06」は、キッチンやダイニングテーブルの上、棚の上などちょっとしたスペースになじみやすいデザイン。 栽培器の上面が小さな棚になっているので、調味料やちょっとした小物を置いたりと、便利におしゃれに使うことができます。
「Akarina05」は道具箱をイメージしたデザインとパステルカラーがとてもおしゃれな栽培器。 かわいいデザインやカラーはキッチンツールやキッチン家電でも人気なので、キッチンまわりをこうしたテイストで揃えている人にはうってつけですね。
まとめ
LED照明を使って野菜を栽培できる理由や、LED野菜栽培の魅力やメリット、ご家庭での野菜栽培におすすめな方法などをご紹介しました。 植物を育てるというのは楽しいものです。
マンション住まいなどで植物を育てられなかったという方は、LED照明を使った屋内での水耕栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。栽培のための手間は少ないので、忙しい方でも育てやすいですよ。